TJAR
トランスアルプスジャパンレース(TJAR)は総距離415km、累積標高25400m、制限時間が8日間に及ぶ日本海から太平洋までの縦断レース。あまりにも過酷なレースである事から厳しい選考会、予選会によって選ばれた選手だけが挑戦権を得るものです。
参加要件の中にある各項目はそれぞれがとても厳しく設定されています。トレランレース70km以上完走、フルマラソン3時間20分以内、標高2000m以上の場所で10泊以上の露営経験などは驚きに値せず、コースタイム15時間以上行動後、標高2000m以上の場所に4回以上のビバーク経験、20時間以上の山岳トレイルコースをコースタイムの55%以下のタイムで走るなど、全ての項目一つ一つを証拠写真など提出の上参加審査されるのであります。
TJAR2016大会報告書
2016年大会はNHKでも特集放送されましたのでご大会をご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、公式サイトで販売されている報告書を見ると、映像だけでは伝わらない各選手の過酷な状況が伝わってきます。送料込みで1700円という価格設定は比較的割高な印象を受けましたが、最後まで読んでいくと非常に面白いと言うか、とてつもない過酷な状況がこちらにも伝わってきてレースの息づかいが届いてくるようです。金額以上の内容に仕上がっているのではないでしょうか。
報告書の構成はレースの概要などの紹介はもちろんありますが、大部分は出場選手各個人の記録集と言ったものになっております。選手個々の個性溢れる文章でこちら側にもその厳しさが伝わってくるものもあれば、淡々とレポートに徹した文章の方もいらっしゃって面白いです。
行動記録
本書のメインは各選手の行動記録が時間軸に沿って日記形式で記述されている部分です。各地点の通過時間やその時の状況などが選手個人の主観的な視点で日記形式で綴られています。注目すべきは各選手間でのLINEグループによるトークなどが行われているという点です。忘れ物を別の選手が拾ってきてくれるなどの連携もあったりしてほんわかしたエピソードもあったようです。しかし、大部分は睡魔や疲労、怪我や体調悪化などのトラブルが随所に織り込まれていて痛々しいレポートになっています。
皆さん記憶が良いのか、長期間に渡るレースにも関わらず、時間や場所と出来事の整合性をキチンと整理していて良く覚えてるなぁ、と言うのが第1印象。一方で登山客や山小屋のスタッフ、沿道で応援する人々、選手同士の関わり合いなど、人との触れ合いによって展開される物語こそ醍醐味だと言わんばかりの記述がかなりのボリュームです。
随所に織り込まれる食事や給水に関する話しは、選手によって状況が大きく変わっていて興味深く読みました。人によっては満足に食べ物が口に入っていかなかったり、戻してしまうなど体調管理の難しさが伝わってきました。
詳細な装備リスト
究極のレースで使われる各選手の装備は非常に参考になります。私たち市民アスリートがそのまま同じものを活用すれば良いのか精査が必要ですが、アイテムごとに詳細な記述が行われていて非常に参考になります。選手によっては一部記載が漏れている箇所もありますが、こちらは契約スポンサーとの兼ね合いでしょうね。
出場選手29人のリストを楽しく眺めていてあることに気がつきました。ほとんどの選手が使う「TJAR2大アイテム」が存在する事に気がついたのです。
(1)ストックシェルター
睡魔との戦いが大きく左右するTJAR。露営具に関しては設営・撤収のしやすさと軽量が支持されてほとんどの選手が「ストックシェルター」を選択していました。ただし、こちらは居住性に難があるようです。
ヘリテイジ ストックシェルター 重量270g(ペグ2本込み)
(2)ファイントラックのベースレイヤー
スキンメッシュ、アクティブスキン、パワーメッシュなど多くの方が汗冷えのしないFinetrack社のベースレイヤーを活用しておりました。私も所持している鉄板アイテムです。トレラン以外にも登山や自転車、ウルトラマラソンなど多くの屋外スポーツで威力を感じる事が出来るでしょう。
https://kobalog.jp/mass/finetrack-activeskin/
これ以外のカテゴリに関しても100円ショップの商品活用や意外なモノを使っている事例など、面白いデータが満載でしたので改めて別の機会でご紹介したいと思います。
疲労対策やケアの方法
最大で8日間にも及ぶレースです。過酷なコンディションに置かれる選手達がそれぞれ自分の決めた方法で疲労回復に努めていくことや、怪我に対応していく方法なども書かれております。多くの選手に共通するのが手足の浮腫み、足のマメ、睡眠不足などです。装備と同様にケア用品や疲労回復グッズの個性も出ていて面白かったです。
私は今まで知らなかったのですが、マメなども含めた足裏のケアは「ガーニーグー」という商品を使用している選手がかなり多数いました。効果のほどはかなりあるようで、このアイテムでトラブル回避出来たというコメントは多く見られました。
レースで得たもの・最後にひと言
常識では考えられない「トランスアルプスジャパンレース」、出場選手がレース後に改めて振り返るまとめは「レースで得たもの」と「最後にひと言」という項目にそれぞれ1人1人が重みに満ちたコメントを残してくれています。
言葉では全て表現出来ないことでしょうが、素晴らしい大会への賛辞はもちろん、スタッフやサポートしてくれた周囲への感謝に満ちたメッセージで溢れておりました。年々応援してくれるファンが増えているようで、注目度もかなり上がっているレースに参加しているという自負もあるようですね。
ある選手の体脂肪率がレース前「3.5%」からレース後「計測不可」になったというコメントを見て驚愕してしまいました。多くの選手は大会出場後、しばらくは体の異変を抱えたまま生活していった話もレースの過酷さを物語っているようですね。
まとめ
とにかく豊富な情報量によってTJARのレース実態が少しでも近くに感じられる1冊で、報告書と表現するのは物足りないようなクオリティです。このレースを目指すランナー以外の方でも十分に楽しめる内容になっていると思います。個人的には「装備」の項目をずっと調べていました。定番商品を紐解いていくこともそうですが、選手の個性によるチョイスや独自性のある意外な商品の活用方法など楽しんで読むことが出来ました。
選手の皆さん、遅ればせながらお疲れ様でした。涙が溢れてくるようなことも何度かありつつ読ませて頂きました。スタッフの方のご苦労も選手と同じようにあるのでしょう。2018年大会を楽しみにしています。
次回は応援に行こうかと思います・・・。
下記記事もご覧下さい。
https://kobalog.jp/mass/tjar2016-item-1/
https://kobalog.jp/mass/tjar2016-item2/
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