【アートコレクター訪問企画Vol.4】アートと居住空間のバランス感覚〜gutsurohi_さんのコレクション

アートコレクター訪問

本記事はアートコレクターのお宅に訪問してコレクションを拝見する企画です。
第4回目となる今回は、Instagramで展覧会訪問録やコレクション作品を投稿している@gutsurohiさんをご紹介したいと思います。

gutsurohiさんは、元美大生で、ペインターから、画廊勤務、広告代理店勤務を経て、現在は会社を経営する30代の男性コレクターさんです。

筆者とはコレクターの知人を通じて2019年の秋頃にお目にかかって以来交流させて貰っています。年末のコレクター忘年会でお宅訪問を打診し、今回の訪問に至りました。

著名建築家によって設計された素敵なご自宅です。

コレクターインタビュー

gutsurohi_さんは、3年前に竣工したご自宅に飾る作品を目的に、アートコレクションの世界に入ったそうです。元多摩美の油画出身で、画廊勤務のキャリアをお持ちで、美術に造詣の深い方でした。

インタビューに答えて頂いたgutsurohi_さん。

  1. コレクター歴は?
    約5年です
  2. コレクションを始めたきっかけは?
    自宅の建築設計を開始したタイミングです。

    ご自宅の設計は、建築家の小川晋一さんに依頼されたそうです。

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  3. コレクションのポリシーやこだわりを教えてください
    自分と同世代のペインターが中心です。また、過小評価されていると感じた作家を特に応援したいです。
    自宅の空間を最大限に活かすため、大型の作品を中心にコレクションしています。

    渡辺豊《ピカソと女たち》 2019年 charcoal and oil on canvas 162×130.3cm

     

  4. 最もお気に入りのアートピースは?
    武田鉄平さんの作品です。

    玄関に1点のみ飾られた作品

    マホクボタギャラリーでの個展が開催される1年ほど前から、ギャラリーのバックスペースで作品を見せてもらい、物凄い作家が出てきた!と興奮したことを覚えています。個展開始前から問い合わせが殺到していたようで、購入できるのか微妙でしたが、幸運にも自分が最も気に入った作品を手に入れることが出来ました。

    武田鉄平《絵画のための絵画019》2019年

     

  5. 思い出深いコレクションエピソードを教えて下さい今津景さんの作品《 berlin 1943 – 1945》です。

    今津景《 berlin 1943 – 1945》2014年 ※gutsurohi_さん撮影

    2006年、貸し画廊で開催していた今津景さんの初個展を観に行きました。
    その当時、作家活動をしていた私は、同世代の若手の中でも今津景さんは、将来凄い作家になるだろうと注目していました。
    それから10年近く経った2015年。コレクションをすることを前提とした自宅の設計に着手したタイミングで、山本現代で今津さんの個展が開催されていることを知り、初めてのコレクションとして今津さんの作品を購入することを決めました。初個展から約10年経過した2015年のことです。

    今津景さんのコレクション作品は他にもありました。

    額装されたドローイング作品も〜左:今津景。

     

  6. 現在最も気になるアーティストは?

牧田愛さんです。

金属の部品などをモチーフにした超絶技巧の作家さんで、購入以前は機械部品など具象性の強い作品の印象を持っていました。

けれど、ここ最近の作品は、金属描写の美しさはそのままに、抽象性が高い作品を発表していて、より魅力が増したように感じています
4月にはニューヨークでの個展を控えており、これからとても楽しみな作家さんですね。

リビングの最も視線の届くベストポジションに飾られた作品〜牧田愛《Shadow:bold》2017年  162cm×162cm Oil Painting , Canvas

7. 期待の若手アーティストは?
多田圭佑さん、香月恵介さん、三瓶玲奈さんです。

多田圭佑《残欠の絵画 #40》木製パネル 油彩、アクリル 65.5×65.5×5.4cm 2018年

 

香月恵介《pixel painting 1600 colors No.022》木製パネル、アクリル 60×60cm 2014年

 

三瓶玲奈《The face》oil on canvas 65×50cm 2016年

8. リスペクトする(or気になる)アートコレクターは?
@sh_art_collectorさんです。

ほとんどのコレクターは、各々の好みやジャンルを絞って収集するのが一般的だと思います。私も同様ですが、その中で自分の好みの作品しか見なくなり、いつの間にか視野が狭まった鑑賞に陥りがちです。

@sh_art_collectorさんのコレクションや、Instagramに投稿する鑑賞作品は、ジャンルに縛られず、あらゆるアートの可能性に理解があると感じました。偏った鑑賞傾向に気づかせてくれた、影響力のあるコレクターさんだと思いますね。

9. お気に入り(行きつけ)のギャラリーは?
Maho Kubota Gallery 、ANOMALY、EUKARYOTE、Yutaka Kikutake Galleryです。

訪問を終えて

大型作品を中心にコレクションしており、年間の購入点数を数点ほどに抑えているコレクターさんです。
作品単独だけでなく、室内の空間を変えるチカラのある大型作品を飾ることで、生活とアートがバランス良く融合して楽しんでいる様子が伺えました。

今村文さんの作品と益子の陶器市で購入した壺の組み合わせ〜小作品の展示も素敵でした。

壁さえあれば作品を飾るような筆者とは違い、白い壁のスペースが豊富にあるにも関わらず、空間の使い方を深く考慮した展示のアプローチでした。
最小限の作品展示数で、アートと居住空間を上手に見せているところがとても上手くて、印象に残りました。

2階フロアのカウンターキッチンと本棚

gutsurohiさんは、以下のInstagramアカウントから、鑑賞した作品の紹介や、ご自身のコレクション作品を投稿しております。

素晴らしい作品と展示方法に加え、コレクションの軸が明確にあって、楽しく刺激的な訪問になりました。