【News】東京・大阪開催〜「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」国立西洋美術館(東京)・国立国際美術館(大阪)

開幕が延期となりました。詳細は展覧会公式サイトをご確認ください。

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展

歴史的な展覧会が、2020年、東京と大阪で開催されます。
ヨーロッパ絵画を網羅する質の高いコレクションで知られる「ロンドン・ナショナル・ギャラリー」が、その200年の歴史で初めて、館外で大規模な所蔵作品展を開きます。展示される作品は61作品、その全てが初来日と言うのですから驚きです。

ロンドン・ナショナル・ギャラリー外観 photo: Phil Sayer, ©The National Gallery, London

本展のみどころ

本展の見どころは以下になります。

1)ロンドン・ナショナル・ギャラリー、世界初の大規模所蔵品展

世界屈指の美の殿堂、ロンドン・ナショナル・ギャラリーがこれまで世界のどの場所でも開催したことがない、大規模な所蔵作品展です。

ロンドン・ナショナル・ギャラリー内観 photo: Phil Sayer, ©The National Gallery, London

2)全61作品、日本初公開。

ルネサンスから19世紀ポスト印象派までの名品を一挙に公開されます。
フェルメール《ヴァージナルの前に座る若い女性》、レンブラント《34歳の自画像》、ゴッホ《ひまわり》など、同館所蔵の世界的傑作が、待望の初来日を果たします。

フィンセント・ファン・ゴッホ 《ひまわり》 1888年 油彩・カンヴァス 92.1×73cm 
©The National Gallery, London. Bought, Courtauld Fund, 1924

3)西洋絵画史を読み解く

ロンドン・ナショナル・ギャラリーの最大の特徴は、幅広く質の高い「西洋絵画の教科書」とも言われるコレクションです。
ヨーロッパ美術を網羅するコレクションによって、「イギリスとヨーロッパ大陸の交流」という視点から、西洋絵画の歴史をたどります。

構成

本展の展示構成は次の7章で構成されます。

第1章 イタリア・ルネサンス絵画の収集

展覧会はイタリア・ルネサンス絵画で幕を開けます。
ロンドン・ナショナル・ギャラリーの設立以来、16世紀のフィレンツェ、ローマ、ヴェネツィア絵画は同コレクションの中核をなす分野です。
また、19世紀半ば以降イギリスで再評価が進んだ、15世紀以前の初期ルネサンス絵画の充実ぶりも特筆に値します。
本章ではウッチェロ、クリヴェッリからティツィアーノ、ティントレットまで、幅広い時代と地域の優品を紹介します。

カルロ・クリヴェッリ 《聖エミディウスを伴う受胎告知》 1486年 卵テンペラ・油彩・カンヴァス 207×146.7cm
©The National Gallery, London. Presented by Lord Taunton, 1864

クリヴェッリはイタリアのマルケ地方で活躍した画家。正確な遠近法や精妙な装飾、画面から飛び出す果物などのモチーフは、彼の多くの作品に通ずる特徴です。通常、受胎告知には大天使ガブリエルとマリア以外は登場しません。しかし、ここでは町の模型を持つアスコリ・ピチェーノの守護聖人エミディウスや、人々の営みが描き込まれ、聖なる情景が日常の光景として提示されています。

パオロ・ウッチェロ 《聖ゲオルギウスと竜》 1470年頃 油彩・カンヴァス 55.6×74.2cm 
©The National Gallery, London. Bought with a special grant and contributions from the Phillot and Temple-West Funds, 1959

初期ルネサンスの画家ウッチェロは、遠近法や数学に長けたことで知られます。ゲオルギウスは竜退治で知られる戦士姿の聖人で、ここでは疫病をもたらす竜を成敗し、囚われの姫を救い出す逸話が描かれます。斜めに突き出された槍や地面の芝生のかたちが空間の3次元的奥行きを強調しており、この画家の線遠近法に対する執着ぶりをよく伝えています。

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ 《ノリ・メ・タンゲレ》 1514年頃 油彩・カンヴァス 110.5×91.9cm
©The National Gallery, London. Bequeathed by Samuel Rogers, 1856

16世紀ヴェネツィア派の大家ティツィアーノは色彩表現に優れ、後世の画家に大きな影響を残しました。復活したキリストがマグダラのマリアに対し、まだ父なる神のもとに行っていないから「我に触れるな(ノリ・メ・タンゲレ)」と諭した場面が描かれます。ティツィアーノは、抒情豊かな風景描写に羊の群れなど宗教的なシンボルを織り交ぜ、見る者の感情を掻き立てる表現を追求しました。

第2章 オランダ絵画の黄金時代

19世紀の後半、ナショナル・ギャラリーは17世紀オランダ絵画の重要な作品群を収集しました。
地理的にも近く、交易や商業で繁栄したオランダの文化は、19世紀にそのあとを追い海洋帝国としての栄華を極めたイギリスにとっても親しみやすいものだったのです。
レンブラントやハルス、フェルメールといった巨匠に加え、風俗画や海洋画など、イギリスで特に人気の高かったジャンルの作品も併せて紹介します。

ヨハネス・フェルメール 《ヴァージナルの前に座る若い女性》 1670-72年頃 油彩・カンヴァス 51.5×45.5cm
©The National Gallery, London. Salting Bequest, 1910

タペストリーやヴィオラ・ダ・ガンバ、金額縁の絵画。美しく設えられた室内で、女性がヴァージナルに手をかけています。客人が到着したのか、彼女はこちらを振り向いています。オランダの画家フェルメールは、同時代の人々の日常の一瞬を切り取った風俗画で名を馳せました。本作は、一見細部まで丹念に描きこまれているようですが、実際には光の反射や色彩の印象が絵に写し取られています。

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン 《34歳の自画像》 1640年 油彩・カンヴァス 91×75cm
©The National Gallery, London. Bought, 1861

光と影の画家として名高いレンブラントは、生涯にわたり幾度となく自画像を描きました。本作は彼の名声が最も高まりを見せた時期のものであり、泰然自若とした雰囲気が伝わります。彼は本作で、ラファエロやティツィアーノといった過去の芸術家が描いた肖像画から衣装やポーズを参照し、自らが偉大な芸術家の系譜に属することを誇示しているのです。

第3章 ヴァン・ダイクと イギリス肖像画

イギリスは18世紀、肖像画の分野に重要な画家を多数輩出しました。
しかしその確立に決定的な役割を果たしたのは、17世紀前半に同国で活躍したフランドル人画家ヴァン・ダイクでした。
レノルズやゲインズバラといった18世紀イギリスの画家たちが、ヴァン・ダイクによる型をどのように引き継ぎ、格調高い独自の肖像画を作り上げていったのか、両者を比較しながら検証します。

アンソニー・ヴァン・ダイク 《ティンベビー卿夫人エリザベスとアンドーヴァー子爵夫人ドロシー》 1635年頃 油彩・カンヴァス 132.1×149cm 
©The National Gallery, London. Bought, 1977

クピドから花を受け取る妹のエリザベスとその傍らに立つ姉ドロシー。おそらくエリザベスの結婚を契機に描かれた作品です。フランドル出身の画家ヴァン・ダイクは、イギリスで肖像画家として活躍、気品溢れる人物描写と華麗な色彩で王侯貴族を魅了しました。彼の肖像画は、イギリスにおいて19世紀に至るまで絶大な影響力を誇りました。

ジョシュア・レノルズ 《コーバーン卿夫人と3人の息子》 1773年 油彩・カンヴァス 141.5×113cm
©The National Gallery, London. Bequeathed by Alfred Beit, 1906

レノルズはロイヤル・アカデミー初代会長を務めた、18世紀のイギリスを代表する肖像画家です。本作を描く際、彼はヴァン・ダイクによる人物画に着想を得て、その格調高さを引き継ぎながら柔和で優しげな雰囲気を人物に与えました。滑らかな筆致や安定した構図、深みのある色彩は、美術の古典に精通していたレノルズならではのものです。

第4章グランド・ツアー

18世紀、イギリスでは上流階級の子息たちがヨーロッパ文明揺籃の地であるイタリアを訪れることが流行し、グランド・ツアーと呼ばれる一大現象を巻き起こしました。
本章では、そうした旅行者が好んで持ち帰ったカナレットらによるヴェネツィアやローマの都市景観図を軸に、グランド・ツアーを通じたイギリスとイタリアの間の芸術文化交流の諸相を紹介します。

カナレット(本名ジョヴァンニ・アントニオ・カナル) 《ヴェネツィア:大運河のレガッタ》 1735年頃 油彩・カンヴァス 117.2×186.7cm 
©The National Gallery, London. Wynn Ellis Bequest, 1876

カナレットはグランドツアーに沸き立つ18世紀のヴェネツィアで都市景観画を確立させた画家です。描かれたのはカーニヴァルの時期に大運河で行われたレガッタの競技会。観光客や窓から身を乗り出す見物人など、町は活気に満ちています。カナレットは一番奥に見えるヴェネツィアの象徴、リアルト橋に構図が収斂するように、注意深くモチーフを配置しています。

第5章 スペイン絵画の発見

ムリーリョがその甘美な画風で18世紀から高い評価を得ていたように、スペイン国外におけるスペイン絵画再評価の先鞭をつけたのはイギリスでした。
特に、19世紀初めのスペイン独立戦争にウェリントン公率いるイギリス軍が参戦したことを契機として、同世紀にはベラスケスやスルバランなどの作品がもたらされ、評価が確立されていきました。
本章ではそうした歴史を作品を通じて巡ります。

ディエゴ・ベラスケス 《マルタとマリアの家のキリスト》 1618年頃 油彩・カンヴァス 60×103.5cm
©The National Gallery, London. Bequeathed by Sir William H. Gregory, 1892

スペイン人画家ベラスケスは宮廷画家になる前、「ボデゴン」と呼ばれる革新的な風俗的作品を制作しました。本作はその一つで、16世紀のフランドル絵画で流行した二重構図を取り入れ、手前に台所の二人の女性と、窓枠のむこうに聖書の場面を配しています。テーブルの上の魚やニンニクをすり潰す乳鉢の質感の再現には、若干20歳のこの画家の類稀な力量が明らかです。

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ 《窓枠に身を乗り出した農民の少年》 1675-80年頃 油彩・カンヴァス 52×38.5cm 
©The National Gallery, London. Presented by M.M. Zachary, 1826

17世紀後半のセビーリャで活躍したムリーリョは、質素な身なりの庶民の少年たちを主人公とした風俗画を多数描きました。本作は少年だけをクローズアップして描いたもの。あどけない笑顔は、対作として描かれた同じ年頃の少女に向けられていると考えられています。ムリーリョの風俗画は18世紀のイギリスで高く評価され、ゲインズバラやレノルズにも影響を与えました。

フランシスコ・デ・ゴヤ 《ウェリントン公爵》 1812-14年 油彩・板 64.3×52.4cm
©The National Gallery, London. Bought with aid from the Wolfson Foundation and a special Exchequer grant, 1961

ウェリントン公爵ことアーサー・ウェルズリーはイギリス人将校で、スペイン独立戦争においてナポレオン軍を駆逐した功労者です。ゴヤによるこの生き生きとした肖像は、1812年にマドリードで描かれ、2年後に勲章が一つ描き足されたもの。公爵はスペイン絵画を故国に持ち帰り、イギリスにおけるスペイン絵画再評価の先鞭をつけたことでも重要です。

第6章 風景画とピクチャレスク

18世紀後半からイギリスでは、調和を尊ぶ古典的な美とは異なる、不規則で荒々しい「絵のような(ピクチャレスク)」美を尊ぶ価値観が流行し、同時に風景画が隆盛しました。
そうした価値観の根底を形作ったのは、クロード・ロランを筆頭とする17世紀の理想風景画でした。
17世紀絵画からコンスタブルとターナーというロマン主義風景画の二人の巨匠にいたる流れがいかにして生まれたのか、作品を通じて検証します。

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー 《ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス》 1829年 油彩・カンヴァス 132.5×203cm 
©The National Gallery, London. Turner Bequest, 1856

ギリシャ神話の英雄オデュッセウスが単眼の巨人ポリュフェモスを倒し、仲間とともに出帆する場面です。赤い衣を羽織った船上のオデュッセウスは勝ち誇り、奇岩の背後の雲中にそのシルエットを見せる巨人を嘲(あざけ)っています。しかしイギリス人画家ターナーは物語のわかりやすい描写よりも、光や自然現象に大きな関心を寄せており、朝焼けの光に彩られた幻想的な風景が鮮烈な色彩で描き出されています。

第7章 イギリスにおけるフランス近代美術受容

最終章では、19世紀フランスで進んだ近代絵画の改革がどのようにしてイギリスにもたらされていったのかを紹介します。
ピサロやモネのようにイギリスを訪れて制作した画家もいましたが、同国では一般的に印象派やポスト印象派の受容はフランスに比べかなり遅れ20世紀に入ってから本格的な収集が進むことになります。
アングルから印象派を経てゴッホ、ゴーガンに至る流れを、イギリスの視点から紐解きます。

クロード・モネ 《睡蓮の池》 1899年 油彩・カンヴァス 88.3×93.1cm 
©The National Gallery, London. Bought, 1927

モネは後半生、フランス北部のジヴェルニーの自宅に東洋風の庭園を築き、刻々と移りゆく日の光を捉えるべく、その景色を繰り返し描きました。睡蓮を植えた池に掛かる太鼓橋を真横から捉えた構図は、彼が中でも好んだものの一つです。本作では、夏の昼下がりの陽光を反射する水面のきらめきが、藤色や緑色の細かな点描によって表現されています。

ピエール=オーギュスト・ルノワール 《劇場にて(初めてのお出かけ)》 1876-77年 油彩・カンヴァス 65×49.5cm
©The National Gallery, London. Bought, Courtauld Fund, 1923

多くの客がつめかける劇場。そのボックス席に腰掛けて、少女が舞台を見つめています。劇場やダンスホール、酒場など、近代生活を象徴する娯楽場は、印象派の画家たちの好む主題でした。特に、芸術は「好ましく、楽しく、きれいなもの」であるべきだと考えたルノワールは、こうした主題を通して近代都市文化の陽気な側面を描きました。

まとめ

初来日する名作品の数々に、大きく興味が惹かれます。
歴史的な展覧会になりそうですね!

概要

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展

【東京展】
会場:国立西洋美術館
会期:2020年3月3日(火)〜6月14日(日)
休館日:月曜日 ※ただし、3月30日(月)、5月4日(月・祝)は開館
開館時間:9:30~17:30(金曜日、土曜日は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで

【大阪展】
会場:国立国際美術館
会期:2020年7月7日(火)〜10月18日(日)

【問い合わせ先】
・東京展
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
・大阪展
TEL:06-6447-4680(国立国際美術館代表)

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