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ぶらっとアート ~β版~ all you need is art

【個展】強きエネルギーの源を探す〜鴻池朋子「ハンターギャザラー」@秋田県立近代美術館

 鴻池朋子「ハンターギャザラー」

現代アート作家鴻池朋子さんの地元開催となったた「ハンターギャザラー」展に伺いました。会場は秋田県横手市に構える秋田県立近代美術館です。

作家のオススメ経路というのがチラシに印刷されていて「Jrチャンネル北上駅から北上線で奥羽山脈を越えてJR横田駅へ行き、駅からはバスで」と言うことでしたが、筆者は横手市とJALの割引企画に乗っかってしまいました。ローカルの地域振興策にハマれば、かなりお安いツアーが見つけることが出来ます。ローカルエリアの美術館巡りをオススメしたいと思います。

秋田県立近代美術館外観

2018年の美術館遠征を考えていたときに、最も注目していた美術展でしたのでとても楽しみにしていました。
筆者が伺ったのが最終日の前日と当日(後述します)。定員100人のアーティストトーク開催日を狙って行きました。

長く傾斜のあるエスカレーター

秋田県立近代美術館は「秋田ふるさと村」内の施設に入居し、高層階(5階・6階)にありますので、エスカレーターで昇っていきます。このエスカレーターは一直線で会場に繋がっていて、鑑賞気分を高める装置としても機能しているようでした。

入口に到着すると大作品が出迎えてくれます。

本展に限らず、鴻池朋子さんは美術展開催にあたって、その構造を正確に理解した上で展示作品の展示方法を考えているそうです。今回は分厚いファイル何冊にも及ぶ秋田県立近代美術館の構造図面を取り寄せ、美術館のリニューアルタイミングを狙って計測器でピッチを確認し、開催を迎えたそうです。学芸員さんも大変だったことでしょうね。

《皮緞帳》

《12人のホイト》は、来場者を歓迎してくれているのでしょうか。

《12人のホイト》2015年

長いエスカレーターでたどり着いたフロアにはいきなり皮緞帳(かわどんちょう)。重くて動かない(鴻池さん的には動かさない)ロダン彫刻との共演です。
その後、本展の入場口でチケットを提示して入場。ここからもアプローチが面白く、赤い絨毯が敷かれた長い通路を進んで行きます。

赤スローブギャラリー

初めて伺った施設なので気がつきませんでしたが、通常のルートとは反対にセッティングされたようです。
モニターが置かれ、カヌーで川を進んで行く映像が流れていました。

映像《Upstream moon bear》2018年

カヌーを漕いで進むゆったりとしたそのスピードは、本展覧会の鑑賞もゆっくり進んで欲しいというメッセージなのでしょうか。

「赤スローブギャラリー」にはインスタレーション作品が展示《美術館ロッジ 舟》
《陸に上がる(左脚)》2017年
《planct #2 high notes》横手市の景色を拝みながら進みます。

剥製の狐やリスも展示されていて、窓越しに景色を見つめていました。

《キツネ》

「赤スローブギャラリー」からバルコニー入ると、階下の展示室が一望できます。巨大な作品の全貌が確認出来ます。

バルコニーから見た壁画

バルコニーを出て先に進むと、小さな小屋が出迎えてくれます。今までずっと登ってきたので登山小屋のような印象を受けました。
白い屋根に何か文字が書かれていました。何が書かれていたのでしょうか・・・?

《ツギハギ小屋》2015年
《ツギハギ小屋》※内部

第4展示室

《ツギハギ小屋》から階段を下っていくと、ようやく展示室にたどり着きました。通常とは逆ルートなので会場は「第4展示室」になります。
「ドリーム ハンティング グラウンズ」と称された第4展示室は圧巻のスケールでした。
壁画もインスタレーションもお触り自由ということで、素材の感触を確かめる人がいたり、壁画作品に見入っている来場者がいたり、人それぞれの楽しみ方で滞在していました。

《Dream Hunting Groundsカービング壁画》2018年 シナベニアに水彩、ゴマフアザラシ毛皮、

このフロアでは鴻池朋子さんの「秋田おはら節」が流れていて、透き通る歌声が遠くからこだまして耳に届きました。声の響きがとても心地良くて、開放的な広い空間もあってかなりの時間を過ごすことになりました。

《Dream Hunting Grounds インスタレーション》2018年

上の写真は動物の毛皮がカーペットのように敷かれています。クマ、オオカミ、シカ、テンなど害獣駆除された動物のものです。

第3展示室

天井高が高く、居心地の良い大きな空間であった第4展示室を抜けると「第3展示室」に移ります。

《美術館ロッジ》2014年

巨大空間から一転、通常の美術展のような陳列方法ではありますが、中央に大きなインスタレーションが構えていました。ツキノワグマの毛皮が掛けられた

《ツキノワ夜空 インスタレーション》2018年
《ツキノワ夜空 インスタレーション》※部分
《コウモリ革絵》2015年

先に進むと

手前《山ジオラマ(火口に顔)インスタレーション》

 

《山ジオラマ(火口に顔)インスタレーション》※部分
《ドイツ箱 タンポポ》2018年
《ドイツ箱 カービングチップ》2018年
《planet #1 first woods》2018年

第2展示室

《ドイツ箱 シジミ》2018年
ドローイング、スクレーバー
《おとぎ話ブローチ》2018年
《カービング 木版画 版木》2015年〜2018年
《やわらかいものを齧ってばかりインスタレーション》2018年

映写室での映像は鴻池朋子さんご自身が大自然の中で、雪中に首から下を埋める果敢なチャレンジアタックや、川を登る様子、自然界の様子を鴻池さん的に切り取って映像化されていました。

映像《北野長持唄》2018年
映像《北野長持唄》2018年
映像《ツキノワ川を登る》2018年

第1展示室と向かう通路には序盤に出てきた左脚のもう片方、「右脚」がここにありました!

《陸に上がる(右脚)》
《古木フレーム 鹿 ペンスクラッチ》

第1展示室

《物語るテーブルランナー》は撮影がNGでしたので撮影写真は残せませんが、展覧会図録には記録されています。一般の方が

出口

キャプションも展示品リストも無い展覧会の鑑賞が終わり出口に向かいました。ここでようやく「ハンターギャザラー地図」という展示資料が配られるのです。
作品リストを含む会場MAPが出口に置かれているのは珍しいオペレーションですが、最終日前日に行われた鴻池朋子さんご自身によるアーティストトークでは、「会期の終わりなので話しても良いでしょうね」という前置きで、ネタバレ的なエピソードが沢山用意され、笑いも起こる楽しい雰囲気で進められました。展示作品をそのままの状態で飲み込んで欲しいと言うことなのでしょう、実際私たち鑑賞者は作品とじっくり向き合う事が出来ました。

床にある足跡がそのまま残っています。
ドキュメント映像《狼との遠吠えin Lepland》
「大切なことは言葉にしない」

鴻池朋子さんの個展「ハンターギャザラー」は、自然界から生まれた素材を使って形作られた展示作品の数々から構成されていますが、私たち人間の根源的な何かに直接刺激するエネルギーに満ちたものでした。

展覧会は全体が吟味され、練り上げられ、計算され、一方では圧倒的で、力強く、私たち鑑賞者を上手に巻き込んでくれました。

奥羽山脈を望む広大な景色、100mもある特設の赤い絨毯で覆われた通路、鴻池さんの艶やかな歌声が響く雪景色の映像、迫り来る大作にせせらぎの音が心地良い大空間、動物の毛皮をこの手で触りながら、自然溢れる秋田県の横手市で、筆者は東京のストレスを見事に洗い流し、その世界に浸ることができ、パワーを持ち帰ることが出来ました。

筆者は涙がこぼれるほどに、この場所の空気に反応してしまいました。

鴻池朋子さんのアーティストトークでの印象的な言葉を残しておきます。
「美術作家は自分の中の才能をいかに発揮するかを問われることが多いかも知れませんが、作品を発表するというものは、外界との接触や摩擦によって出てくるものなんです。外界との色んな接触によって、感情が自分の中で揺れ動き、表現として作品になるのです。」

鴻池朋子さんが指す外界とは、日常生活を送る人間社会での関わりはもちろん、動植物や自然界のあらゆる存在を含めているような印象を受けました。
本展で感じた、とてつもない大きさのエネルギーは、鴻池さんが巻き起こした芸術的な自然現象として、深く胸に刻まれるものになりました。

  まとめ   

  • 鴻池朋子さんの出身地での初個展
  • 大自然に触れる最適なロケーション
  • スケールの大きな作品から小品、彫刻、ドローイング、映像など様々な作品が出展
  • 自然と人間を映し出すテーマ性
  • 思考のスケールが桁違いに大きく、メッセージ力を兼ね備えた展覧会
  • エネルギーを感じる展示作品と展示方式
  • 2018年の最も印象に残った美術展の最高峰

ちなみに本展の図録は商業主義的に走らず、開催された展示の状態を撮影した本当の展覧会図録です。素晴らしい完成度なので是非お手にとって頂ければと思います。

概要

鴻池明子
ハンターギャザラー
会場:秋田県立近代美術館
会期:2018年9月15日(土)~2018年11月25日(日)
料金:一般 1,200円/高・大学生 800円/中学生以下 無料

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