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【アートクルーズ体験記】松永学芸員の名トークで鑑賞する「モネ それからの100年」@横浜美術館

横浜美術館

横浜美術館で開催している「モネ それからの100年」にお伺いしました。
展覧会の方はいつもながら、横浜美術館らしい企画で楽しませて頂きました。特に、今回は初めて「アートクルーズ」という企画に参加させて頂き、同館主任学芸員の松永真太郎さんの解説を聴講してから展示を鑑賞したと言うことも印象を強くしたことと思います。
松永学芸員の分かりやすく、静かだけど熱いトークがアートクルーズの内容を含めながら「モネ それからの百年」を振り返ってみたいと思います。

モネ それからの100年

今回の企画は「モネ展」ではなく、「モネ それからの100年」。タイトルとあるように、「それからの100年」がキーワードになっています。
横浜美術館としては開館後初めて扱うモネ展と言うことですが、松永氏曰く「巷の企画とは一線引きたかった。モネを鑑賞しながら、モネ以降のアートと比較することで、モネを再検証する企画」ということで、現代アート作品が多く出品されていました。
タイトルロゴの「モネ」が大きなフォントで表現されているので、モネ100%の展覧会と間違って入館してしまう来館者もいるかも知れませんが、作品の点数は「モネ25点」に「現代アート26作家66点」というバランスです。

アートクルーズ 7つのポイント

アートクルーズは通常の展覧会の中で行われている企画では無く、営業時間終了後に組まれる特別な企画で、事前に申し込む必要があります。公式サイトのフォームから受付し、当日料金を支払ってエントリーする仕組みです。アートクルーズのポイントは5つ、下記に記載しました。

  1. 事前申込み企画
  2. 先着220名限定(18才以上)
  3. 有料企画:今回は3500円(税込)
  4. 企画学芸員によるレクチャー1時間 ※今回は松永主任学芸員
  5. アートクルーズ限定・自由鑑賞会
  6. 音声ガイドの貸し出しは無し
  7. コレクション展の観覧は無し

ポイントは1時間のレクチャーで理解を深め、貸し切り状態の展示室でゆっくりと鑑賞出来る企画と言うことです。開催時間は17:30〜20:30。通常の料金の約2倍を払う必要があるのですが、人気の企画なので今回も会場は満員でした。

レクチャー

受付して料金を支払い、レクチャーホールに入場後、松永学芸員がスライドを使いながら本企画展の狙いや展示におけるポイントを語ってくれます。松永学芸員のお話は淡々と淀みない解説なのですが、分かりやすく愛のある語り口が印象的で、本当に美術が好きなのだと言うことが伝わってきます。
展覧会のコメントも博識で引き出しを沢山持っていて専門性が高い一方、分かりやすい平易な言葉で伝えてくれます。

作品鑑賞

レクチャーを終えて会場へ進んで行きます。全員が一挙に向かうため「分散して見ましょう」というアナウンスが有り、各々で4つのブロックそれぞれへと散っていきました。
なお、本展覧会は4章に分けられて構成されていますが、レクチャー後の松永学芸員は会場を回遊(クルーズ)し、それぞれの作品解説を行いながら来場者の質問に答えてらっしゃいました。

第1章〜 新しい絵画へ 立ちあがる色彩と筆触

第1章のキーワードは「筆触分割」。絵の具の黄色、緑など単色ずつキャンバスに描いていく技法のことで、
ー画面の主役が個々のモチーフではなく色や筆触そのものになっている作品が集められています。

「鑑賞者の網膜で色が混ざる」とは松永学芸員の表現ですが、まさにその通り!混ざり方は人それぞれでしょうが、ステイニングという技法で有名な丸山直文の「puddle in the woods 5」を引用して説明していました。丸山直文さん個人は「特にモネを意識してはいない、好きだけどね」ということで、普遍的に影響を受けているという指摘をされていました。
筆触分割により、画面全体が渾然一体となっていく。輪郭が失われることによって全体を受け止めることの面白みがありますね。

先日行われた丸山直文の個展は下記の記事にまとめてあります。
http://kobalog.jp/burart/2018/07/naofumi-maruyama-2018/

第2章〜 形なきものへの眼差し 光、大気、水

第2章は「塗り重ねによる空間表現」がキーワード。モネの有名な「ロンドンシリーズ」の絵画を起点として、風景の抽象化、移ろいや瞬間性の表現、絵画固有の空間表現の探究といったテーマによって現代アートを紹介しています。

ステイニングによって表現したモーリス・ルイス「ワイン」やスキージ(ヘラ)を使って色の積層を見せるゲルハルト・リヒター「アブストラクト・ペインティング(CR845-8)」は迫力があって堪能する事が出来ました。

第3章〜モネへのオマージュ さまざまな「引用」のかたち

第3章は「オマージュ」ということで、モネの絵画から直接インスピレーションを得た現代の作品群を紹介し、その個々の創作のなかにモネへの共鳴、モネからの継承を見出す企画です。分かりやすさを意識した展示のようで、「睡蓮シリーズ」を中心に様々な現代アート作品が集められていました。

なかでも、福田美蘭さんの「モネの睡蓮は、大原美術館(倉敷)の中庭の池に浮かぶ睡蓮をモチーフに、睡蓮と水面の反射とが重なる光景を描き出しました。その「イメージの重層」という主題は、後述する新作「睡蓮の池」シリーズにも引き継がれていきます。

第4章〜フレームを越えて 拡張するイメージと空間

第4章のキーワードは「イメージと空間の拡張」です。睡蓮シリーズにおける特徴として次の2点があります。

  1. 異なるイメージの重層による半遠近法的画面
  2. 構図の断片化と複数点並列がもたらす空間の拡張

風景画からの脱却やインスタレーション的志向であったモネの後期の特徴において、フレームの外側にまで及ぶイメージを与えるような構図を組み立てていました。
アンディ・ウォーホルの「Flower」は、モネを意識してギャラリーに敷き詰めるように展示したこともモネの影響というお話しがありました。本展でも作品の向きはどういう方向でも展示して良いというルールに則っていたようです。
ここで印象的だったのは福田美蘭さんの作品「睡蓮の池」とその連作で横浜美術館だけの特別出品作となった「睡蓮の池 朝」です。
どちらもモネの作品を現代版らしくアレンジした「人工の光」や「ガラス面」を取り入れた作品です。解釈はシンプルですが、キャンバスから発する圧倒的なエネルギーを感じ、作品に取り込まれたような状態で対峙することが出来ました。両作については、モネが辿った画業の変化を表現しているようですし、見どころの沢山ある作品で非常に深く印象づけられました。
※福田美蘭「睡蓮の池」は展覧会開始時に展示が決定し2018年3月完成、「睡蓮の池 朝」はさらにその後に制作が開始されたため2018年6月完成、名古屋展には間に合わず図録にも掲載されておりません。

まとめ

展示作品をゆったりした貸し切り状態の中で鑑賞し、表現が適切では無いかも知れませんが、この展覧会は「モネをおとりに使った現代アート展ではないか!」と言うことに気がつきました。
「モネを意識して描いている作家だけ集めたわけではない。作家が自覚してなくてもモネが再現されている」という松永学芸員のお話の通り、モネが切り開いた絵画の技法や思想が確かに現代に根付いていることを実感することが出来ました。「モネを見る眼差しで現代アートを鑑賞し、魅力を再発見して欲しいです」と言う言葉で分かる通り、この展覧会は非常に分かりやすい「現代アートの楽しみ方講座」という要素が含まれているようです。

概要

展覧会名:モネ それからの100年
会期:2018年7月14日(土) ~ 9月24日(月・休)
会場:横浜美術館
開館時間 午前10時~午後6時 *ただし、31日(金)、9月14日(金)、15日(土)、21日(金)、22日(土)は、20時30分まで ※入館は閉館の30分前まで
休館日 木曜日
出品作家:クロード・モネ
アルフレッド・スティーグリッツ エドワード・スタイケン マーク・ロスコ ウィレム・デ・クーニング モーリス・ルイス サム・フランシス ロイ・リキテンスタイン ジャン=ポール・リオペル ジョアン・ミッチェル アンディ・ウォーホル ゲルハルト・リヒター ルイ・カーヌ 堂本尚郎 中西夏之 松本陽子 平松礼二 根岸芳郎 岡﨑乾二郎 児玉靖枝 鈴木理策 福田美蘭 丸山直文 湯浅克俊 小野耕石 児玉麻緒 水野勝規

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